2022年7月1日

『小さな会社の人を育てる‟賃金制度”のつくり方』

中小企業と東証一部上場企業では約1.8倍、286万円もの年収差があります。
なぜこんなに大きな差がついてしまうのでしょうか。
それは、「稼ぐ力」=生産性に大きな差があるからです。
従業員一人当たりの労働生産性(年間平均)は、
大企業が1,323万円、中小企業が 553万円で、
その差は実に約2.4倍となっています(2018年版「中小企業白書」より)。
小さな会社は大企業に比べて、生産性が低いため人件費を上げたくても上げられないという現状があるのです。
私は、創業後約21年間、人材育成の仕組みづくりを通じて多くの中小企業の「稼ぐ力」を高めてきました。
その結果、中小企業の生産性に限界をもたらしているもっとも大きな要因は、次の点だということがわかりました。

従業員100人未満の会社
「経営計画」と「人事評価制度」がない、または運用していない会社がほとんど
従業員1000人以上、東証一部企業
「経営評画」と「人事評価制度」が明確で、運用している会社がほとんど

しかし、ここで覚えておいていただきたいのが、「賃金制度」は導入手順や使い方を誤ると、
社員のモチベーションを低下させ、ひいては「生産性」を下げる要因につながってしまう危険性もはらんでいるということです。
「過去に取り組んだが、導入を断念してしまった」という方も多いのではないでしょうか。
その原因は2つあります。

1つは、会社の生産性向上に取り組む前に導入してしまうからです。「賃金制度」は会社の人件費である給与や賞与を社員に配分するためのルールです。
その配分のもととなる原資を確保し、さらに増やしていくには会社の生産性を上げていかなければなりません。
この「生産性を上げる仕組みづくり」を先に行なう必要があるのです。

これに取り組むことで社員は、
「この会社は発展し、自分の生活も安定するだろう」
「将来成長し、利益が出れば賃金に還元されるはずだ」
と実感できるようになるのです。

2つめは、給与や賞与の配分が公平に行なわれないからです。
1つめであげた賃金へ配分するための原資が十分確保できたとしても、その配分の過程で納得感が得られなければ、
社員の不満につながってしまうことは容易に理解できるでしょう。
配分を決める起点となるのがリーダーの評価です。この「リーダーの評価スキル」が低いまま導入してしまうため逆効果となってしまうのです。
ここを十分対策することで社員は、
「給与を上げるためにどうすればよいかわかった」
「上司の成長支援のおかげで賃金アップできる」
と実感してくれるのです。

1つめの「生産性を上げる仕組み」が「経営計画」、
2つめの「リーダーの評価スキル」を磨くのが「評価制度」です。
つまり、「『経営計画』で会社が発展し、その中で自分自身も成長することで年収も上がっていく。
そこヘリーダーが適正に導いてくれる」という実感を社員全員がもてる組織とする必要があるのです。
「賃金制度」を導入するのはこの後です。

(文責:日本人事経営研究室株式会社 代表取締役 山元浩二)

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