2021年10月26日

【研修トピック】世代間ギャップに悩む上司のための部下育成研修

【研修トピック】世代間ギャップに悩む上司のための部下育成研修

1 なぜ、上司と部下のコミュニケーションがかみ合わないのか

①上司世代と部下世代の教育環境の違い

「ゆとり世代」が職場に来たら読む本 表紙
今、職場で、若い部下の考えていることがわからないという管理職、リーダーが続出しています。厳しく指導しても、響いているのかどうかわからない。ちょっと注意すると、すぐに落ち込んでしまう。自分の若いころはこうではなかったのに、とどう接していいのか分からなくなってしまうのです。
このようなコミュニケーションギャップは、実は、上司と部下の育ってきた教育環境に起因しています。相対評価で育ってきた上司世代と、絶対評価で育ってきた部下世代で、考え方に大きな違いがあるのです。
相対評価で育ってきた上司は、人より良い成績をとったら褒められるという教育を受けてきました。常に100点をとることを求められるのです。ですから、頑張っても周りと比べて良い結果がでなければ叱られてきたのです。褒められた経験、体験はとても少なかったはずです。そして上手くいかなかったら自分の未熟さを反省します。頑張ることは大前提で当たり前なのです。
一方、絶対評価で育ってきた部下世代は、自分なりに頑張って、昨日の自分より少しでも改善したら褒められてきた世代です。前回30点だった人が、40点をとれば、その10点の改善を褒められます。100点を取らなくてもいいのです。比べられるのは、他人ではなく、昨日の自分です。結果ではなく、頑張ったことを褒められますので、叱られた経験はほとんどありません。上手くいかなくても、頑張ったことをアピールしてきます。頑張ることが目標になっています。

②部下指導において、ついついやりがちな上司の間違い

世代間ギャップに悩む上司のための部下育成研修 画像2
何事も相対評価で育ってきた上司ですから、仕事も結果を出してはじめて評価します。部下が頑張って、昨日より成長が見られても、会社が求めるレベルにまで達しない限り誉め言葉はありません。ですから、仕事ができるようになったと感じた部下が褒められるのを待っているにもかかわらず、上司から誉め言葉がかかることはありません。逆に部下が自分の頑張りをアピールすると、なんで上手くいっていないのに、あつかましくアピールしてくるんだ、と感じるのです。

③上司の言葉が響かない部下の本音

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頑張って前よりも仕事ができるようになったので、そのことを褒めてもらえると思ってアピールしたにもかかわらず、成果もでていないのに評価はできないと言われた部下は、あれっ?頑張ったのに何で叱られるのだろうと不思議に思ってしまいます。そして、理解できない行動をとる上司とのコミュニケーションが煩わしくなり、不信感がドンドンつのっていくのです。
少子化により「大学全入時代」に突入、学生同士の競争が激減し、個性尊重の教育を受けてきた部下世代は、叱られたり、否定されることなく学校生活を送ってきました。学校は、学生に対するサービス合戦を繰り広げ、
・懇切丁寧、手とり足とり、手厚い個別指導部
・活動の上下関係、寮制度の減退、ルール主義
・学生が先生や授業をアンケートなどで評価採点
という上司世代には想像もつかない“ぬくぬくとした”環境で育ってきました。その結果、競争、失敗経験、主体的体験、モラルを養う環境、上下関係、忍耐力といった上司世代が経験してきたようなことは激減し、“してもらう”環境、情報量、モノ、自分が他人を評価する経験が激増しました。
 この世代の特徴は、のんびりしている、素直という長所もありますが、落ち込みやすい、根拠のない自信、常に待ちの姿勢、対人関係が希薄、指示したことしかできないなど、仕事をやっていくうえでは短所となる点がたくさんあるのです。
 そのように恵まれすぎた環境で、“すでにたくさんのものを持っている”部下は、上司世代のような“お金持ちになりたい”とか“偉くなりたい”という物欲や名誉欲がなく、給料や昇進は仕事のモチベーションにはなりません。ですから、上司が自分の価値観で、仕事を覚えたら管理職に上がって、仕事のやりがいや私生活も充実するから頑張れ!と言っても、部下には何も響かないのです。
このような部下世代の特徴を捉えた育成が必要となっています。

2 世代間ギャップを埋める具体策と部下育成法

①上司向けマネジメント研修 「ゆとり教育世代の部下を育てる具体策」

確実に進む少子化のなかで、人を採用するのは一苦労です。また、せっかく採用した人材も3年で3割以上が辞めてしまうという現状を踏まえると、採用した人材をどのように育てて定着させるか? その上でどう戦力化していくのかといことが、これからの企業の大きな課題となります。しかしながら、このような現実を知らない上司のなかには、育てられない自分の未熟さを棚に上げて、部下の質が悪いと育成を諦めてしまう人がいます。しかしながら、せっかく高い費用をかけて採用した新人ですから、何がなんでも育て上げてもらわないと会社としては困るのです。賢明な上司の方なら、そんなことは当たり前だろうと思われるでしょうが、いまだに部下の育成を放棄して困っているという事例に悩む経営者の声をお聞きするのが現実です。ダメだったら辞めさせて、また採用すればいいではないかという時代は遠い昔の話ですから、まずはそのような時代認識が間違っていることに気づいてもらわないといけません、
この研修では、このような貴重なゆとり教育世代の人材を育てていくための具体的な方法をお伝えしていきます。ゆとり教育世代の部下が育ってきた時代背景や受けてきた教育の違いなど、まずはゆとり教育世代の部下と自分たちとは何がどう違うのか?ということを理解していただきます。また、育成というのは人(部下)を変えることではなく、自分(上司)が変わることであるということを軸に、受講者の上司の方が変わっていくことが最大の人材育成になるということを理解していただく内容となっております。

②上司が自分自身のスタイルを知る個人特性分析テスト

自分が変わるために必要なことは、まずは自分自身を知ることです。いま世の中に出ている様々な適性テストの大元と言われているのが交流分析なのですが、その交流分析を用いて受講者自身の性格と部下指導を行う際のクセであったり、得意なこと、苦手なことなどを分析していきます。また、部下指導をする上で気を付けた方が良いポイントや部下が喜ぶアプローチなど、実際の部下指導を行う上でのポイントを具体的に知ることができます。
そのことを踏まえて、実際に起こりうるシチュエーションを基にケーススタディを行っていただきます。普段の仕事中でも新人や若手に対して感じていることなどを、具体的に解決していきます。ちなみに、部下育成を進めるうえでのコミュニケーション手段として不可欠な報連相ですが、平成生まれから報連相は出てきません。当然来るだろうと待っていても、受け身の彼らからは来ないのです。このような現実を知ることによって、報連相は上司から取りにいかないといけない、ということを知ります。ゆとり教育世代の部下は自分たちとは育ってきた環境が違うから、今までと同じアプローチではダメなんだということを再認識させ、ゆとり教育世代の部下が自発的に動くような部下指導のやり方に変える必要性を改めて促します。

3 部下育成の効果を高めるオプション研修

① 部下向け研修 「自立心向上研修」

上司と部下では育ってきた環境や働くことに対する考え方に大きな隔たりが存在します。特に平成生まれにもなると、子供のころから既に物がありふれていることが当たり前であり、与えられるということが当たり前になってしまっているところがあります。しかし、会社では与えられるのではなく、自分が何を出せるかということが評価へとつながっていきます。当然、出せるものがなかったり、少なかったりすると評価は上がりません。逆に結果を出せば評価されるのが会社でもあります。そんな与えられることから脱却し、自分から何かしらを出していけるような「自立型の人材」へとリマインドしていくのが本研修の特徴となっております。また、考え方をリマインドした上で、上司とどう付き合っていくのか?上司を喜ばせるためにどのような行動を取っていくことが評価を上げていくことにつながるのかということを具体的にお伝えします。

② 上司・部下合同研修 「コミュニケーション強化研修」

上司と部下、それぞれがお互いの価値観を理解し、上司は部下をどのように指導すればいいのか?部下は上司とどのようにコミュニケーションを図ればいいのか、そのことを踏まえたうえで、上司部下を同じ場所に集め、研修で学んだことをより具体的に活かしていくためにはどうすればいいのかを議論していただきます。コミュニケーションの下地ができたのち、各研修で行った性格分析テストを用いながら、個人、上司と部下の相性、部署のチームビルディングとその用途と方法についてお伝えしていく内容となっております。お互いの気づきを、より現場で活用していただくためのキッカケをお伝えする場にさせていただきます。

<文責:研修担当 増岡>