「Z世代」の若者に必要な「新入社員研修」とは?
今年も例年と同じ研修で大丈夫ですか?
さて、若手社員の離職率の高さが指摘されている昨今、御社の新入社員の育成は上手くいっていますか?
★入社当初だけ全員一律に「マナー教育」「仕事の進め方」など、通り一遍の研修を集合研修でやって、あとは現場にお任せ!
★現場は現場で「忙しいから新人教育なんてやっている暇はない」
― これでは、新入社員は育ちません。
先輩、上司に放っておかれて孤独感を感じ、嫌になって辞めてしまう、この繰り返しです。
このような状況を放置していては、新入社員・若手社員の離職防止、定着化などできるわけがありません。
それに加えて、これから年々採用環境が厳しくなっていきます。
昔のように、
‟ダメだったらまた採用すればいい”
‟来年に期待しよう”
などという時代ではありません。
実はこの採用環境の厳しさを理解していない現場の管理職は意外とまだまだ多いのです。
どこかで、教育に対する考え方、教育体制を抜本的に変えていく必要があります。
そのためには、最近の若者が何を考え、どういう価値観を持っていて、何のために働くのか、
しっかり正しく把握することが大切です。
今の若者はどのような特徴・考え方をもっているのか
まず、今の若者の特徴を考えてみると、
- 素直で良い子だが、本音が見えにくい
- 上下関係が苦手で、ゆるい横の繋がりを好む
- 正式なルールは守るが、“暗黙のルール”が分からない
- 褒められると頑張るが、怒られるとやる気を失う
- 何かにつけて評価をするのが得意
というような特徴があげられます。
ではなぜ、このような特徴をもつようになったのでしょうか?
ここではその大きな理由として二点ご紹介します。
それは、①少子化による教育環境の変化と②ゆとり教育による評価の変化です。
①少子化による教育環境の変化
一点目は、少子化によって教育現場が激変したことです。
まずは、この大きな変化を管理職世代が正確に知ることが必要です。
大学入試においては、
■高校のクラスの約半分は推薦枠での大学入学
→多くの若者は‟受験をして合格を勝ち取る”という競争を経験していない
■大学全入時代(不合格率の低下)
■上位の大学以外は“浪人生”と言う言葉はほぼ死語
授業の様子は、
■一部テストは持ち込み自由(パソコンなどもOK)
■学生が授業や教授を評価
→その結果評価の低い教授は辞める
■学生が好むのは学習内容よりも単位の取り易さ重視
■自由度が高い教授が人気
― いかがでしょうか?
管理職の皆さんの学生時代とは、まったく様変わりをしているのです。
このような学生生活を送ってきた若者は、過去と全く違う価値観を持っており、会社での振る舞いも今までとは違います。
- 社内での競争環境に馴染めない人や、役職を目指す意識が低い人の増加
- あいまいな褒め言葉に対しては、嬉しいよりも「疑問」が湧き出る
→具体的な理由を言われずに褒められると、なぜ褒められたの?何を見て褒めたの?と疑問を持つ - 競争を促すような言葉は、褒め言葉でも叱咤激励でも通じにくくなりつつある
- 具体性が無くあいまいで意味の分からない声がけや中途半端な声がけは逆効果
- 結果ではなく自分がいかに頑張っているかという“プロセス”を見て欲しい
→定性評価重視 - 会社での業績や結果よりも、どちらかと言うと“自分の成長”に興味がある
つまり、学生時代から競争や周囲との比較が極めて弱い環境に育ってきているので、先輩や先生、目上の人との上下関係の意識は稀薄です。
とりわけ体育会系の「先輩は神様」みたいな関係は、今の若者にとっては信じられないことなのです。
先輩、目上の人に対す敬意は醸成されず、「主従関係」から「フラット」の関係へ変わってきています。
そして、今後さらに少子化は加速し、
- 「競争環境の激減」による「“比較”への耐性減」
- 「上下関係の激減」による「“敬う”経験の不足」
- 「もらう量の激増」による「“当たり前”の意識」
という特徴が際立ってきます。
②ゆとり教育による評価の変化
そして二点目は、ゆとり教育によって評価方法が変わったことです。
いわゆる「ゆとり教育」が始まったのは、現在の年齢で言うと34歳の時からです。
つまり、30歳代前半は、一部ゆとり教育を受けてきた世代。そして、29歳以下が、ゆとり教育の影響を色濃く受けている世代です。
では、ゆとり教育の何が影響を及ぼしているのかというと、‟評価の仕方”がそれまでとは決定的に変わったことです。
ゆとり教育以前は「相対評価」、ゆとり教育以後は「絶対評価」です。
相対評価は、同級生との競争を勝ち抜かなければ、良い評価はもらえませんが、
絶対評価は、過去の自分よりも成長すると評価が上がります。
周りよりも良い結果を勝ち得ると評価されるのが「ゆとり以前」、
前よりも成長した自分、成長にむけ努力することを目指すのが「ゆとり以後」です。
つまり、「結果主義」と「プロセス重視主義」。
ゆとり世代は結果をださなくても、努力することが大事で、頑張れば褒められてきた世代なのです。
ところが相対主義で育ってきた上司はいくら頑張って努力しても、合格点に達して結果を出さないと褒めませんので、
「なぜこんなに頑張ったのに褒めてもらえないの?」と感じる部下との間で、ギャップが生じてしまうのです。
Z世代の育成に効果を上げる新入社員教育
それでは、そのような新入社員を育成するために必要なスキルとはどのようなものでしょう。
それは、「観察力」「傾聴力」「説明力」です。
部下を教育するために必要な「管理職3大スキル」
- 「観察力」とは、表情や声・態度など、個々の変化を細かい部分まで読み取ることです。
日頃意識して行なうことで、人事評価などにも有効となります。
- 「観察力」とは、表情や声・態度など、個々の変化を細かい部分まで読み取ることです。
- 「傾聴力」とは、部下の話を聴ききる。話の途中で、憶測や推測でアドバイスをせずに聴き「きる」ことが大事なのです。
“こうに違いない”という思い込みで、部下の話を途中でさえぎってアドバイスを始めると、
部下は、真剣に聴いてもらっていないと感じますので、要注意です。
これは、1on1面談などでも意識します。
- 「傾聴力」とは、部下の話を聴ききる。話の途中で、憶測や推測でアドバイスをせずに聴き「きる」ことが大事なのです。
- 「説明力」とは、何かを指示するときに、理由や意味を、部下が理解できるように伝えることです。
“うちの会社は昔からそうだから”とか“当たり前だから”という指導では、部下は納得しません。
- 「説明力」とは、何かを指示するときに、理由や意味を、部下が理解できるように伝えることです。
「教えて育てる」教育に、「育み成長させる」育成をプラスする
最後に大事なことは、「教育」に「育成」をプラスすることです。
育成とは、個々に育て方を変えること。集合教育で全員一律に教えるだけでなく、
ひとりひとりの特徴に合わせて育み成長させる個別教育が必要になります。
目標をみずから立てさせ、やり方を考えさせ、
失敗の一歩手前の「つまずき」を与えることにより、
気づかせながら育てていきます。
多様な価値観の中で育ってきたZ世代は、上司世代のような“こうあるべき”的な教育では納得しません。
部下ひとりひとりをしっかり見て、その人に合った育成をしていくことが求められるのです。
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(文責:増岡)