2023年3月31日

やんちゃ番長が野球部監督?!(後編)

やんちゃ番長が野球部監督?!花巻東、佐々木監督の明るく、かつ真摯な人柄に魅了されました!

~第137回(2023.1)全国経営者大会の感想①-2~
(前編はこちら

佐々木監督は、常に様々な場面で「何が大事なことなのか」を意識して学んでおられ、
それをキーワードとして整理しながら、実体験をもとにご自身のものにしているよう思います。
今回の講演では、その中の大事なキーワードを踏まえて、いろいろお話いただきました。
挙げられたキーワードとそれにあわせて説明された内容は次のようなものです。
(この内容も、その時の私のメモを基に整理していますので、実際のお言葉とは違う部分がかなりあるかと思います。
 あくまで意訳と思って下さい。その点はご容赦下さい。)

大事なキーワード

◎物事を非常識に考える。(本質をとらえた上・・)
・高校野球では、一回負けたら甲子園に出られない。そう考えれば、プロ野球より厳しいとも言えるのが高校野球。
・小中学校では、多くの者がバッター・ピッチャーの両方をやっている。
 だから大谷が両方やっても、なにもおかしくない・・・と思っていた。
・いい選手、いいピッチャーは、お尻が大きい。太い足の筋肉を使うからだ。
 今まで野球の練習では走ることがかなり重視されていたが、それは間違っている。
 走りすぎたら、足の筋肉がスリムになってしまう。
 実戦で使う筋肉を実践に合わせて鍛える!例えば実際の投球動作に近い形で練習することが大事。
・野球は持久力より瞬発力。それで長い練習ではなく、例えば7分間でのピッチング練習(?)と言ったやり方を取り入れている。
◎先読みが必要。
・右投げ左打ちが多いなら、左投げ右打ちを考える、と言ったこともあり得る。
◎変えることと、変えてはいけないことがある。
・坊主頭は、本当に危険なのに、いまだ続けている学校がある・・・。
・見える要因と見えない要因の両方を見る。
 数字だけを一律当てはめるのはダメ。一人一人に合わせて指導することが大事。
・一方、データ分析で見える化することの効用として、はっきり成長が数字で見えること。
 数字を見せてやらせると、みんな自分からバンバン取り組むようになる。
 但し、「なぜやるか」を監督としてしっかり説明できることが大事。
◎中庸
(「相反する両極の性格を併せ持ち、それを矛盾なく機能させる・・・
そうした能力を持つ人のことを最高の知性の持ち主と言う。」)
・温情と非情、利己と利他、トップダウンとボトムアップ・・・。
自主性は大事だが、放任になってはいけない。どちらかに片寄りやすいが、それではうまくいかない。
野球の世界でも、片寄っているケースがまだまだ多い・・・。

どのお話も、ビジネスに直結する内容で、野球に例えていることで、なおさら説得力があると感じました。
例えば、「実際の投球方法に近い形で練習する」と言うお話にはとても共感しました。
私も営業研修において、実際の商品サービスとお客様を想定する実践ロールプレイングをしょっちゅう行っていますが、
とても有効であることを実感しています。
と言うか、そうした実践ロープレを取り入れていない営業部隊は、
これからは一流のチームにはなれない時代になってきているとさえ思えます。
また、「中庸」については、今まさに「混迷」の時代に入り、特に重要になって来ているよう思います。
実は、20年前に出版した「普通の人型リーダーが最強の組織を作る」と言う私の著書にも
「(変化する時代のリーダーの役割には・・)二つの相反する要素を両立させ、
融合を図って、新たな次元の世界を生み出すことが求められている。
夢と危機感、チャンスとリスク、創造と破壊、自由と管理統制・・正反合の運動・・」
と言ったことが書かれていて、
最近ますますそのことが大事になって来ていると思えていたので、
この「中庸」という言葉の解釈にも、大変共感した次第です。

【“庭造り”からの、気づきとして】

一方、ご自身が自宅のお庭を造るという実体験からくるお話も、
野球監督としての反省にそのままつながっており、大変面白くお聞きしました。
・「はじめは、自分の好きな木ばかりを植えたら、
  大きくなってほかの木の邪魔になって入れ替えしなければならなくなった。素人的なミスを犯してしまった。」
 ⇒今の自分のやりたいことばかりになって、選手各人の成長の妨げになっていないか?
  自分が殺してしまっている選手もいるかもしれない、と思えてゾッとした。
・「ちょっと遠くのところでお茶飲んで、庭全体を見る大事さを、
  ベテランの庭師のおじいさんから教わった。
  四季折々の庭の景色を思い浮かべて、
  大きな木・小さな木、花の咲く時期、色の組み合わせ等々、ちゃんと事前に考えて植える・・。」
 ⇒野球チームの運営も一緒に思える。
・「松の木は、小さい枝のうちは、針金を掛けて変な伸び方をしない様に育てる。」
 ⇒矯正と自主性のバランスが大事。自主性ばかりでは、うまくいかない。
  時期も大事。
  例:大谷が日本ハムに入団した際、「外出禁止、運転禁止」、また「論語と算盤」を読ませるように球団にお願いした。
    まだ18歳。若いので虫が付かない様にと考えた。

等々、まだまだいろいろなお話があったのですが、これくらいにしておきましょう。
なにしろ講演の一時間30分が本当に短く感じられ、あっという間でした。
早口でどんどん大事なことを立て続けにお話されていましたが(それでメモするのも大変でしたが・・)、
終始にこやかと言うか、楽しげにお話されていて、聞いているこちらも楽しくなって、
もっと聞いていたい、と思いました。
会場の多くの皆さんもそうだったと思います。

まとめ

最後に、
「夢しか実現しない」
「夢を目標にしても、必ずしも夢が実現しない場合もあるが、そこに近づくことは出来る」
「人生の悲劇は、目標を達成しないことではなく、目標を持たないことである」
「夢と目標の違いは、期限と数値をつけること・・」
「理想を描いて、そのための目標を作り、その目標を実現させようと努力すること・・」
「注意されたらありがとう。失敗できたら、おめでとう!」
「考える+行動=結果」
と言ったキーワード的な言葉を挙げておられ、
この言葉にちなんだご自身の思いを、会場の皆さんに熱く語っていました。

「大谷が160Kの球を投げられるように、
自身だけでなく監督もコーチも目標シートを作って、
どうしたら実現できるかを必死になって考えて実行した。」
「大谷は、『野球の歴史を変える。俺がこの道の開拓者になる!』とその当時から宣言していた。
だから今の姿がある!」

私も現在、ある夢に挑戦していて、「まさに、そうなんだ!」と思え、
“夢にかける勇気”をあらためていただきました。
佐々木監督には、本当にありがとうございました。

以上

文責:株式会社CBC総研 山川裕正氏

講師SELECT 山川裕正氏 プロフィール(講演依頼サイトの講師SELECTにとびます)