2015年7月21日

【平松陽一】人と仕事と仕組みの『スリーバランスセオリー』 34

スリーバランスセオリー


34.集団規範はどうあるべきか、メンバーが意識する


よい集団規範を社内に浸透させるために行われるのは、社内研修や可視化
(カードなどをつくる)ということが行われる。
これらのものは、集団規範を定着させるための手段でしかない。

私がよく泊まる関西のホテルで、マネジャーが1枚のカードを見せてくれた。
そこには、自社のサービスに対する考え方が書いてあった。
これをいつも携帯していると言うのである。あれこれはとその時思ったのは、
少し前に米国のサービスレベルが高いと言われているホテルで見せてもらったカードと
同じではないということであった。

しばらく経ってこのホテルに行ってみると、すでにカードの話は誰の口からも
出なくなっていた。あのカードはどうなったか聞いてみたところ、そういうのが
ありましたよねというレベルの答えであった。
多くの企業では、サービスを向上させようとなると、研修やカードづくりなどを行う。
悪いことではないが、これで十分かと思い込んでしまうのだが、現実には何の変化もない。
外から見て、この部分が見やすいし、手をつけやすいからであろうが、安易な感じがする。
セミナーや本で表現しやすいのは、手段の部分であり、どのような集団規範がよいか
ということについては触れていない。集団規範を口頭や文章で表すのは難しいことなのである。
これを無理してやろうとなると、

・顧客第一主義
・社会に貢献する
・コミュニケーション第一

といった一般的な言葉が出てくるが、「では、どうやって顧客第一主義」をするのかと
質問をすると、「何でもお客様のために…」といったレベルのものが多い。
本当にこのような会社のトップは、このようなスローガンを赤字の時でもそれを
やり通してみるのかと疑いたくなることがある。
老舗企業といわれるところであっても、これが我が社の考え方ですと言われてみて、
これは100年、200年前からあったと思えないものが多いのである。
ところが、書籍等ではそれを前面に出すということが多い。
せいぜい第2次世界大戦後のことである。こういう集団規範にしたいというのは、
試行錯誤の中から出てくるものであるということを痛感している。
だから、「お客様を大切にしよう」というだけのものは集団規範ではない。
そうすることは、何を目的としているかがはっきりしないのだ。
全社員がどのような企業であることを意識することができるかにかかっているのである。


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