2016年7月5日

【平松陽一】組織を動かす経営計画 11

組織を動かす経営計画


11.何倍と何分の1の発想の違いは

人件費生産性と労働分配率は、分母と分子が入れ替わるだけで、そこから受ける意味合いが変わってきます。

人権費生産性 = 付加価値/人件費 (何倍)

労働分配率 = 人件費/付加価値 (何分の1)

人件費生産性という考え方は、一人当たり幾ら儲けるという考え方です。
「一人当たりこれだけの利益を…」という表現になります。
一方で、労働分配率は、一人当たりの人件費を粗利益の何%に押さえることにより利益を出す
ということがあります。
生産性は何倍稼ぐ、分配率は何分の1に押さえるということであり、一見生産性は積極的で勇ましく、
分配率は経費をつめるのですから、後ろ向きということにとられるかもしれません。
この2つのどちらが正解であるというものではありません。
私の経験によりますと、景気の良い時は生産性の考え方が有効であり、
逆の場合は、労働分配率の考え方が有効であると感じています。
経営計画を作成する時に、売上から経常利益を見て、幾ら残すかという発想があります。
一方で、経常利益を幾ら残すために、どれだけの売上をしなければならないかというものです。
この2つの考え方のどちらかに片寄るのではなく、バランスよく見ていくことが
求められるのではないでしょうか。


次回:2016年7月20日 掲載

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