2014年4月1日

【平松陽一】人と仕事と仕組みの『スリーバランスセオリー』 5

スリーバランスセオリー


5.どうして外にばかり目を向けようとする



社長のアイデアが良い割には業績が今一つ思わしくない企業には、共通しているものがある。
それは、売上を向上させることによって、利益を出していこうというものである。
しかし、多くの場合上手くいかない。だから、私のところに依頼がくる時も
「売上がこれ位になったら」「新規顧客があと何件あったら」
というように企業の外についてのものが多い。
確かに、この目線は正しいと思う。
ところが、売上が上がらなかったり、新規開拓が思うように進まないということは、
内部に問題があることが多い。
典型的なのが、内部でコストダウンをしないで、高い価格で売ってこいというのであるから、
売上が上がるはずがない。
ところが、損益計算書を見ていくと、売上が上がれば問題は解決することは、誰でも理解できる。
だからと言って、営業マンの努力だけではどうにもならないものだ。

本来、外部は変えにくい、内部の方が変えやすいのであるが、それが分からない経営者が多い。
だからなんでも、景気のせいにしてしまうのだ。
今、コストダウンのために意味もなく海外進出をしている企業が実に多いのには驚かされる。

かつてこんなことがあった。東京周辺にあったメーカーが、人件費の抑制から地方に工場を
増設するというブームである。この時に、非正規として採用した社員が思い通りに生産性が上がらない。
そこで、多くの中小企業が正規社員雇用に変えたのである。
それから何年か経ち、これがコストアップの要因となっている。
それを見直そうとせずに、今度は単に海外に進出することにより収益を向上させようとするのだ。
しかし、これで売上増大を求めるのは、どうかと思う。
外部は取り込んでいくのに時間がかかるものだ、それを急速に求めようとすると、
組織にゆがみをつくってしまうことになりかねないのである。


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