2023年2月6日

VUCA(変動、不確実、複雑、曖昧)時代の社長の大戦略① ―よくよく考えて・・“明るく元気!”ー後編

VUCA(変動、不確実、複雑、曖昧)時代の社長の大戦略① ―よくよく考えて・・“明るく元気!”ー後編

(前編はこちらから)

後編では、VUCA時代に社長さんが取るべき大戦略 ステップ①『心』で、
どうしたらみんなが「明るく元気」になれるのか?
私が考えるキーワード、
「希望」 「信念と誇り」 「チャレンジ」 「成長の実感」 「他者との深いつながり」について、
それぞれ解説してきます。

「希望」

ここでも、いろいろ考えて、・・・一番に希望を挙げたいと思います。
「希望」こそ、みんなを元気にする、一番の素。特に、将来への不安が広がっているVUCA時代だからこそ、
この「希望」の価値がとてつもなく上がっている、と私には思えます。
逆に「希望」が持てない社会、会社は、混迷の渦に巻き込まれて衰退していってもおかしくない。
今の日本の社会経済や多くの企業が停滞して見えてしまうのは、不安に駆られる中、
「今だけ」の目先追っかけに陥ってしまっているからではないか。
希望の感じられない社会や会社に将来が無いことは至極当然のことでしょう。
でも、希望が感じられない残念な会社が現在とても多いよう見えるのは、私だけでしょうか?

※コロナの収束を見据えて、現在転職市場がとても活発化していると聞きました。
多くの人達が、希望の見出せない今の職場に見切りをつけ、
未来への新たな希望を求めて動こうとしている、と言う事でしょう。
希望を見出せない会社が見捨てられていくことが今後ますます加速する、と言えるようです。

でもだからこそ未来への「希望」を、社員はもちろんのこと、お客様、そして社会全体に与えることのできる会社にチャンスがあるし、その「希望(ビジョン)」を実現することに本気で取り組んでいる会社は
これからきっと繁栄する、
と私には思えるんですね。
そんな会社であれば、社員さんには本当にイキイキ働こうと思ってもらえますし、
何か挫折や失敗があっても、希望を糧にさらに頑張っていこうと思ってもらえるでしょう。
また、そうした会社であれば、夢を感じてお客様の方から集まって来てくれますし、
事業としての魅力も感じられて、多くの人や企業が集まって協力してくれるでしょう。
だから、会社が繁栄する(確率が著しく高まる)ことは間違いないと思います。

そこでまずは、社長さんには、このことを問いたいと思います。

 問1:
「当社は、社員、お客様、広く社会に対して、
みんなが明るく元気になるための『希望(ビジョン』を与えているか? 
社長として、そのことが何より大事と思って、その実現に本気で取り組んでいるか?」

「信念、誇り」

次に「明るく元気」のために大事なこととして、信念、誇りを挙げたいと思います。
「信念、誇り」は、自分のやっていることが「良きこと、正しいこと」と思えることで生まれます。
自分たちのビジネス活動の目的が「お客様に(希望をあたえ)喜んでもらえること」
そして「社会に希望を与え、社会を幸せにすること」と心底思えたら、
それはそのまま「信念、誇り」につながることでしょう。
「会社の業績向上や自分たちの収入アップ」ももちろん大事ですが、そのためにより大事になるのは、
「希望」を自分達だけでなく、お客様、そして社会にまで対象を広げ、
本気で「お客様、社会の幸せ」の実現を目指すこと。
そのことによって、お客様と外部の人や企業を大きく巻き込めることになり、
当社を飛躍させてくれることになる。だから、なおさら「明るく元気」になれる。
私は、「信念、誇り」は業績アップにためにも、とても重要な要件と思っています。

そもそもビジネスと言うのは、「お客様に喜んでもらって、お客様を幸せにする。
さらには、社会を幸せにする。その結果、私たちも幸せになる。」
ことが目的と私は思っています。
その目的に「信念、誇り」を持って取り組むことが出来れば、「明るく元気」になれるはずですし、会社も繁栄できる、ということです。

問2:
「自社のビジネス活動を通して『お客様の幸せ、社会の幸せ』を実現するという強い『信念、誇り』を持っているか?
またその『信念、誇り』を社員みんなにしっかり持たせているか?」

「チャレンジ」

そうした自身の「信念、誇り」を持ったうえで、「チャレンジ」する。
新しいことをやっているという高揚感と、そのことでもたらされる新しい刺激や達成感が
「明るく元気」をさらに腹の底から沸き立たせてくれると思います。
実際私のコンサルティングでは、新規開拓や新規事業の支援が多いのですが、
うまくいっているケースとうまくいかないケースの一番の違いは、
「信念、誇り」をもって「チャレンジ」出来ているかどうか。
そしてそのことを当事者の皆さんが「楽しんでいるかどうか」にあるよう思えます。
社長や上司から、半ば強制的に「信念、誇り」もないまま新しいことにチャレンジさせられても、うまくいくわけがないでしょう。
そうではなく、自分が何より大事だと思えることをもって、新しいことにチャレンジするなら、
そこですぐに成果が上がらなくとも、間違いなく次につながっていくはずです。
「当社は、こんな希望を持ったビジョンを掲げ、これからこんな素晴らしい社会の実現のため、
またお客様には○○と言う素晴らしい満足をご提供したくて、今回このようなご提案に上がりました・・・」

こうした言葉をどれだけ真剣に語れるかが、新規開拓が成功するかどうかの、
大きな鍵を握っています。
出来る営業担当者は、こうした言葉を磨き、熱き心をもってお客様にチャレンジしていますし、
お客様にチャレンジを促しています。
だから「希望」をもった未来へのチャレンジに飢えている「大きな可能性のあるお客様」を開拓でき、
大きな成果を上げることが出来る、ことになるわけです。

問3:
「社員みんなに『信念、誇り』を持たせたうえで、自らの意思で新たなチャレンジをさせているか。
またそのことが、なんとも『楽しいこと』であるかを、実感させているか。」

「成長の実感」

さらには、(自分の)成長の実感が、自身に大いなる自信と充実感をもたらし
「明るく元気」を持続させてくれるでしょう。
出来る者は、そうした新しいチャレンジから得たことを確実に自分のものにして、成長を図っています。
営業で言うなら、失敗を何より悔しく思って反省対策を入念にしていますし、
成功事例をしっかり分析して、次に活かせるようにしているということです。
わたしが営業活動のヒヤリングをすると、出来る営業担当者ほど、前向きな『信念、誇り』を
持った発言をしますし、
自らの行動とその結果を振り返って、常に分析的に捉えて、そこからノウハウをしっかり
得ようという姿勢を強く感じることが出来ます。
そしてそのことを楽しんでいることもわかります。
もちろんすべてのメンバーがそうした出来るメンバーになってもらえるように研修したりコンサルティングをしているわけですが、
その際、社長さんやリーダーの皆さんの部下メンバーに対する姿勢がとても大事と思います。
それは、各人の「成長」をどれだけ本気で求めているか、ということ。
その本気さがあるなら、営業会議で、単なる業績結果の追求と業績目標の確認だけで終わることは
無いはずです。
営業活動の中身をみんなで議論する場として、例えば成功事例については、
まずみんなの前でその営業担当者を褒めた上、
成功要因をみんなで共有して、次の展開に活かす。
そうしたサイクルを回すことで、業績アップと共に、営業メンバー全体のレベルアップを図ると言うことになるでしょう。
また人事制度についても、一人一人に「成長することが、本人にとってどれほど大事なことなのか、
人生を充実させ楽しい事なのか」
をしつこいぐらいに何度も言ってわかってもらえるようにする。
あわせて、実際会社の希望(ビジョン)を踏まえて、各人への希望をもって期待する成長内容をしっかり示し、実際成長が図れる制度をつくっているべきと思います。
そんなこと当たり前、と言う方もいるかもしれません。
しかし実際には日本社会全体に未来への希望が薄れて、少なからずの人が、今だけの損得や楽しさに執着して、
自己成長の努力への意欲自体薄れてしまっているよう(私には)見えるだけに、
「社員一人一人に『自己成長』を促し、実際に成長を実感していけるようにする」ことが、
会社を成長させるために、本当に大事になっていると思えるのです。

問4:
「会社として、また社長・リーダーとして、
本気で各人に成長を促し、またそれを実感できるようにしているか。
またそうした仕組み、仕掛けがしっかり出来て機能しているか。」

「他者との深いつながり」

一方で会社と言うのは、一人では実現できない素晴らしいことを、多くの人達が集まって実現することに意義・価値があると言えるでしょう。
だから「みんなが集まって頑張る」ことで、「明るく元気」になることが大事と言うことになります。
チームプレーによる共感と歓喜を実現する、と言うことです。
実際、混迷の時代になって、一人や一企業で物事を解決したり、
創造を実現することが難しい状況になっているよう思います。
社内でのチームプレーでは、身近な人同士でのきめ細かな連携がより大事になっていますし、
他部署との連携では、新たな発想で新たな価値を生み出すような“より「密」なつながり方(運営体制)”が
求められているよう思います。
また外部との関係では、お客様、さらには異質な強みを持った人や企業が集まって、
今までにない創造を実現していく「オープンイノベーション」がより大事になって来ていることを実感します。
私はこれからは「幸せの輪を作り、より幸せが増えていく『幸せの循環』をつくる」ことが、
ビジネスを発展させる何よりの要件になっているよう思います。
その時大事なのは、単に目先の損得ではなく、「希望」と「信念、誇り」を「つながり」の基本に置くこと。
そしてみんながその「つながり」によって、
新しいことが生まれることに何かワクワクした期待と楽しさを感じられるようにすること、と思います。

問5:
「社内のそれぞれのチームプレーに『人と人との深いつながり』が持てるような配慮や工夫をしているか。
他部署の連携では従来にない、新たな発想のあり方を取ろうとしているか。
外部との連携についても、よりオープンに一体となった密な関係をつくる、
ワクワク創造を生み出すビジネスモデルになっているか。」

VUCA時代に社長さんが取るべき大戦略 ステップ①『心』のまとめ

以上「明るく元気」にビジネスを進めていくために求められることを述べてきました。
何だ、基本的なことじゃあないか、と思われた方もいるかもしれません。
でもなにより今大事ことであり、実際に真剣に取り組んでいただけたら、
混迷の時代だからこそ、間違いなくビジネスの成果に結びつくと思います。
でも、それ以前に「明るく元気」な方が、人生楽しいし、その楽しい人生を周りのみんな、お客様、社会全体に広げて行けるなら、
自分の人生に大いなる意義価値を見出せて、なによりうれしく楽しくなれるはずです。
そしてきっと「うれしく楽しい、幸せな人生、生きていてよかった」と思えることでしょう。
VUCA時代だからこそ、「人生にとって、社会にとって何が本当に大事なことなのか、幸せなことなのか」にこだわって、
まずはそこからスタートしよう、ということです。

なお、この記事を書くに至った経緯や、このコンセプトを実践するためのオリジナルセミナーを別記事(追伸編)にて掲載しておりますので、
宜しければそちらもご覧ください。
追伸編

VUCA時代に社長さんが取るべき大戦略
②考え方
③方法論
に続く・・・

文責:株式会社CBC総研 山川裕正氏

(講演依頼サイトの講師SELECTにとびます)

講師SELECT 山川裕正氏 プロフィール(講演依頼サイトの講師SELECTにとびます)