2015年10月6日

【平松陽一】人と仕事と仕組みの『スリーバランスセオリー』 39

スリーバランスセオリー


39.ルールは作りっぱなしになっていないか


しくみとしてのルールは作るのは簡単だが、廃止することは難しい。
経営的に見るならば、新しいことを始めるのは多くの人が賞賛するが、
辞めることには反対するか、無関心となることのが殆どである。

人材育成には時間がかかる。
そこで、仕事を求めるやり方に変えてくれない。
それならば、しくみ(ルール)をつくれば、その通りに動いてくれるのでは
ないかと思ってしまう。ルールづくりは、安易にできるためについ手を出して
しまうのである。問題は、組織のメンバーがそれをどう見るかということだ。
ルールをつくったからといって、それで本来の問題が解決するという保証はない。
むしろ、そのルールを動かすための人とパワーがいる。
そう思い通りにいくものではないが、その思い通りにいかないところを社員は見ている。
社員から休みが取れないという発言があった時に、うちの会社はいつでも
休めるルールになっているという忌のことを発言している幹部社員がいた。
だが休みたくても休めないのである。なぜ休めないかの原因を探し出し、
対策を講じなければならない。これをしなければ、ルールは有名無実となってしまう。
そもそもルールだけで組織を動かそうとするのは難しいだろう。
人は勝手に動くものであり、ルールを意識してというのは、難しい面がある。
だからルール違反があるのだ。

ブラック企業が問題になった。
企業が、現実に収益を上げていくにはグレー部分があるのは否定できない。
ところが、このグレー部分でやり過ぎてブラックに近くなるので、ルールにより
規制することになるのである。
仮にルールとして利益管理を厳しくして、しめつけを行ったところで、
それだけでは先が読めないから組織メンバーはやる気になりにくい。
だからといって、いつまで経っても収益ベースに乗らない部門を引きずることも
困ったものなのだ。

ルールをつくっても成功の裏付けのないものに対して、組織メンバーは反応しないのだ。
さりとて、これは絶対に失敗する・成功するというものは存在しない。
細かいところまで情報を押さえたからといって、その意思決定が正確かというと、
そうでもないことがあるから経営は面白い。
そこで、微妙な差となるのが、集団規範なのである。先が見えなくてもやってみようと思う
組織メンバーがいるかということだ。これをしようと言った時に、
理路整然とできない理由をいう組織メンバーがいるが、これでは最初から無理なのだ。
ある経営学者と話している時に、最終的にはエイヤーで決めなければならないと言っていた。
つまり、やってみなければ分からないだろうということだ。
現実として組織はつくらなければならないし、ルールが求められる。
だからこそ、ルールの作りっぱなしに注意したいものだ。


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