【平松陽一】人と仕事と仕組みの『スリーバランスセオリー』 7

スリーバランスセオリー


7.戦略は組織に従うという考え方



「戦略は組織」に従うというのは、米国の経営学者チャンドラーが今から60年前に提唱した考えである。
組織を職能の集団としてとらえるだけではなく、
顧客・商品に合わせた事業部制度などの考え方を世に示した。
これは、顧客に合わせた組織にするということである。そうすることが動きが適切であるという考えだ。
つまりいくらよい戦略をつくったところで、それが出来る組織でなければ意味がないというものである。
事業部制が良いか悪いかは、別問題としても、結局は組織がつくれないのであれば、
戦略目標は達成できないという本質的な問題である。
ところが、このことが理解できない経営者が実に多い。
多くのセミナーでは、戦略はこうしたらよいということを言う。そして、聞いているうちにその戦略は
自分の会社でもできるような気になってしまう。

例えば、ITを使った営業戦略はこれから必要となるし、それは疑う余地もない。
ところが、そのための人材、しくみ、仕事をどう調整するかということが前提となるが、
それが殆どの場合バランスをしていない。

私の関係先で、ダイバーシティ構想の中で、女性社員を活用したということで、
何回も表彰を受けた企業がある。
ところが、この会社の社長が言うのは、「うちのような会社が表彰されたのでは、
よほどダイバーシティなんて実態がないのでは…」と言っていた。
この時は、思わず苦笑いをしてしまった。
また再雇用者を利用している会社がよくテレビなどに登場するが、
これはあまりにも事例が少ないからマスコミが取り上げていることが多い。
そもそも、再雇用人材が本当の意味で活かしきっている企業が多いのであれば、
ニュースとしての価値は少ないはずである。
それにもかかわらず、マスコミがもてはやすというのは
いかにそのような会社が少ないかということが根底にあるのではないだろうか。


[前回へ][次回へ]

平松 陽一へのお問合せはこちら