2015年4月7日

【平松陽一】人と仕事と仕組みの『スリーバランスセオリー』 27

スリーバランスセオリー


27.経済指標で読めるものもある



経済数値指標は役に立たないという。そのために、街角インタビューやタクシーのドライバーなどに聞いて、
景気が良い悪いの判断をしているが、この2つにはそれぞれ特徴がある。
前者は、結果としての数値であり。それが経営活動の中で実感として分かるには時間がかかる。
一方、後者はデータが片寄っているということがある。考えなくてはならないのは、このような経済指標が
自分達のビジネスとどのような関係があるかということだ。
高級店の売り上げは、景気にも影響されるが、株価の変動に関連することが多い。
多くの人は、人は賃金により収入が変わると思っている。賃金の高低に購買が影響されるから、
賃金が上がらないと購買力が高まらないというものだ。この理屈に当てはまらないものがある。
それは、収入にはもう一つあるということである。

資本(金)が収入をもたらす(賃料収入、株の配当金等)ということだ。株には、配当や売買収入がある。
日本の企業の多くは、3月が決算であり、6月に株主総合、7月に配当金の支払いとなる。
ということは、株主としての配当金のある人は、7月が収入が多いこととなる。
従って、この収入が増えると、資産所得として入ってくるのであるから、普段買えないものを買おうとする。
そのために、7月に高級品が売れるのである。
ついでに言うならば、この収入を8月まで引っ張ることができるのであれば、8月の売上ダウンは
少なくてすむのである。
多くの老舗といわれるところは、この層の顧客を相手にしている。
だから、景気に左右させることが少ないのだ。勿論、商品に特徴があるのは事実であり、
顧客が固定しやすいことはある。本質的には、景気に大きく影響されない層を相手にしていることが
あるから、長年に亘り生き残っているのである。
要は、このような動きに対応するために、スリーバランスをどう調整するかということだ。
季節変動のある業種ではスリーバランスにより調整してみることだ。
需要の少ない時期に人を入れて、しくみを整えておき、繁忙期に間に合わすというものである。
経済指標は、このために役立つものである。
本来、商品に季節変動はつきものである。この場合、組織の中の固定費は季節変動の低いところに合わせ、
需要の高い時期は変動費で対応することである。
これを老舗では、変動費は限界利益を低めるものと割り切っているとことが多い。
そのことを割り切ることにより、よい商品が提供できるのである。


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