【平松陽一】人と仕事と仕組みの『スリーバランスセオリー』 25

スリーバランスセオリー


25.集団規範(社風)は一度しか助けてくれない



よい集団規範が企業を救うことがある。
そのために、よい社風を創れば、経営がどうにかなると思っている企業経営者が多い。
それは、現実的には、あり得ないことなのだ。
集団規範は前向き的な時にはプラスとして働くことが多いが、
後ろ向きの時にそれを支えるということは弱いからである。

新しい事業をする時や撤退する時に企業の社風が分かってくる。
それは、新しい事業に対して社員がやってみようと思うか、何で俺がやらなければならないのかの
2つに分かれるからである。だから、「やってみよう」と思う社風を作っておくことが大切なのだ。
この「やってみよう」、「何で俺が」のどちらかを迷っている時に、前向きか後ろ向きかのどちらかに
引き寄せるのが社風である。
だから、うちの会社は何をやってもダメだということは、後ろ向きの方に引き寄せる
社風が働いていると考えられる。
集団規範は、微調整にはよいが、大きな調整には向かない。
「真面目な社風ですね」とは言うが、現実には給料が安いのであれば、食足りて礼節ありのごとくに、
本気で真面目ということはないと考えてよいだろう。
真面目の社風の会社に限って、普段無口な社員が一度口を開くと、堰を切ったように会社の悪口を
言うということを何度も目にしてきた。やり過ぎが継続的になると、やがて効果が薄れてくる。
だから、表面的な手を打っただけでは集団規範に助けられることはないと考えた方がよい。

集団規範は一度であるならば企業を助けてくれることがある。
しかし、それが度重なってくると、その力が弱まってくる。
そして、臨界点(耐えられない点)を超えるとマイナスとなって働いてしまうのである。
確かに、組織内の出来事は放っておいても解決することがある。この場合注意しなければならないのは、
スリーバランスの均衡・成長を考えないで、ただ社風に頼っていては
やがて限界になってしまうということだ。
この時点で、この会社はどうなってしまったのだろうということになる。そうならないためには、
社内の一大事に一回だけ集団規範に頼ってみることなのである。


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