30.組織変更シンドロームが組織を動かなくする |
組織変更をしても、それが思ったように動くには、かなりの時間を要すると思った方が良い。
組織変更は、何らかの意図があり行われたはずだ。
具体的には2つのことだ。それは強みの強化と、弱みを補うことだ。
どちらもカタチを変えただけでは難しい。スリーバランスの3本柱を
バランスさせることを考えなければならない。
しかしだからといって、直ぐに組織が機能するものではない。
読者の皆さんが体験したものに、金融機関で新しいシステムが導入された時しばらくして、
トラブルが発生したということがあるだろう。おそらく、十分に準備したものであっただろうが、
そううまくはいかないのである。
これと似たものに、いかにこれなら出来るという経営計画を作成して、
これならいけると思っていても、そうはいかないことがある。
その原因は、組織が思った通りに動かないということだ。
生産部門では、効率を上げるために新しい機械を導入する。事前準備は十分にしたはずだが、
思い通りに動かないということが殆どである。そのような場合、現場をよく知っている人は、
「機械が馴染んでいない」という表現を使う。これは、理屈では動かなくてはならないのだが、
微妙にズレが生じてしまい、今一つ思うようにならない状況を表す時に使う。
そこでこの微妙な調整をコツコツ行うのである。これをマネジャーが、
ただ急げというだけでは現場を知らない人だと思われてしまう。
気をつけなければならないのは、組織変更して上手くいかないと、また新しい組織にするという
ことが行われてしまうことだ。
こうなってくると、組織だけが頻繁に変わることにとなってしまい、それに人がついていかない
ということが起きてしまうのである。こうなると、また組織が変わるのだから、
今の組織は仮の組織ということになり、本気にならないのである。
誰もが考える、業績が悪くなった時部門の立て直しの常套手段を私は見てきた。
地方支店などでは、支店長が変わるということが頻繁に行われる。
ところが、支店のメンバーは地元採用のケースが多いことから、新しい支店長が来て、
多少ガミガミ言われたところで、じっとしていれば、やがて納まるだろうと考える。
そして上手くいかなければ支店長はまた異動することになってしまうのである。
このような政策をとるところは、大企業が多い。中堅・中小企業では人材に限りがあるために
難しいと言える。仮に支店長を変えようとしたところで、それに変わる人材がいないのである。
「あの人はダメだ」と思っても、今組織にいる人材をいかに活かすかを考えなければならないのである。