2020年1月22日

【平松陽一】社長・後継者のためのホンネ経営 Ⅳ-38

Ⅳ.「出退」

38.実子への接し方

このシリーズで対象にしている同族会社では、この問題はついて回ります。
よく実子であろうが社員と同じように処遇するという社長がいますが、これまで見てきた会社では、そのような人に会ったことは一度もありません。
会社は社会システムで成り立っているものであり、実子とは血で成り立っているものですから、本質的に違うものであるということを受け入れることです。
では、どうすればよいかというと距離の取り方に尽きるのです。
これまでの成功事例で見ていくと、入社後に海外や遠い所に出してしまうということをしている会社が事業承継が比較的上手くいっています。
時々会って食事をするレベルのもので落ち着いてきます。
不思議なもので一度離れてしまうと、近くに戻ってきても距離感を保てるのです。人は環境に適応する生きものと言われますが、一度離れるとその時の良さを体が覚えているからなのです。
仕事の話を家庭でするなというのは難しいことかもしれません。
ある経営者が、「息子達と毎日家で食事をしながら経営の話をするのが楽しみだ」と言っていました。が、これはいけないぞと思いました。
しかし、これはその社長の価値観です。実はその2年前に会社が倒産寸前までいったこともあり、今では夫人も息子たちとの経営の話を毎日楽しみにしているようです。

次回:2020年2月5日 掲載予定

平松 陽一への講演依頼はこちら