14.「○○はまかりならぬ」は何を意味する |
私の関係先に、上場会社でトップが次のような方針を出しました。
「赤字はまかりならぬ」というものです。
私から見るとどこをどうとっても黒字にならない部門が主力事業の中にあるのです。
ところが、「来期は全ての部門が黒字に転換する」という内容をプレス発表をしたがために、
引っ込みがつかなくなり、同時に株価が上がってしまったのです。
どう見ても、黒字にならない部門の対処方法は1つしかありません。
それは、粉飾決算をすることです。
つまり、赤字はまかりならぬはイコール粉飾決算を行うようにというルールに変わってしまったのです。
現場での粉飾は、売上一在庫一回収という一連の中で、巧妙に行われていきました。
決算は好調の内に幕を閉じ、このトップはマスコミの人となりました。
そして、退任をした後で、この粉飾決算の処理を次の経営者がすることになったのです。
赤字は、バランスシートを傷つけますから、そのための借り入れ、組織整理そして
やってはいけない人員整理となったのです。
上場会社は、トップが3〜5年で変わります。
そのために、どうしても今が良ければと考えてしまうのです。
中小企業は同じトップが20年、30年勤めることになります。
だから、大きなミスに手を染めることは少ないのですが、それだけに思い切った
手の打ち方ができないところがあるのは忘れてはなりません。
経営上の難題であっても、やらなければならないことには手をつけなければなりません。ただ、
それを現象として指示するだけでは、その内容を取り違えてしまうことがあるので、注意したいものです。
次回:2016年11月2日 掲載
平松 陽一への講演依頼はこちら