36.組織論の一長一短をわきまえる |
よい集団規範を社内に浸透させるために行われるのは、社内研修や可視化
どのような組織論にも一長一短があることを考えて欲しい。
組織論ブームがあるが、これには気をつけて対処しなければならない。
例えば、カンパニー制度により税法上の優遇が受けられることがある。
すると、そのことを強調してカンパニー制ブームとなる。
責任を明確にしなくてはと事業部制を徹底して行うというよなことがブームとなる。
カンパニー制にすれば、カンパニー長(社長)が必要となる。
そのための人材がいるか、いなければ育成できるか、外から連れてくるかということになる。
また、しくみを動かすための時間と資金が必要となるのである。
これは、表面的なことであるが、管理レベルを上げた組織をつくろうとすると、
動きが鈍くなるということもあるのだ。これが企業の動きを弱くするということになりかねない。
そこで考えなければならないのが、新しい組織をつくる時に、
その組織の一長一短を事前に検討しておくことだ。
良い点だけでなく、自社にとってそれを採用した時の欠点はどう表れるかということだ
。多くの組織形態論の説明は、その弱点について触れていない。
どのような組織であっても、人が考えたものに万能であることはないのだ。
そのことを忘れてはならない。
新しい組織をつくり動かしていこうという時に、スリーバランスを押さえることだ。
殆どの組織論は、あるべき姿だけを示し、その運用の仕方については示していない。
だから、スリーバランスにより、何が足りていて、何が足りないかについて
整理してみることである。そして、足らないものを新しい組織に期待されるレベルまで上げるのに、
どれ位の期間が求められるかを考えることにより、新組織の発足をいつにするかを決定することである。
これからの組織は、海外展開も含めて考えなければならない。
国内での組織が海外では十分に機能しないということがある。
それは、組織を取り囲む社会の規範が日本とは違うからだ。
よく企業の現地化と言うが、これは現地に合わせるという単純な意味ではない。
それだけでは難しく、いかにその地域独自のものをつくるかということにかかわってくるのである。